shade10.5とPhotoshopで宝石を作画する(ただしモノクロ)

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 世はすっかりコミケシーズンですねー。

 さて今回は何の脈絡もなく、3Dで作る本格的・漫画用宝石素材のチュートリアルです。最終的にモノクロ原稿で使えるイラストカットを作成します。
 使うソフトはおなじみShade10.5とPhotoshop CS3。

 宝石といえば、リアリスティックフォトレンダラー・Shadeの十八番芸。
 Shade使い的には一度は挑戦したくなる練習課題ですが、2度目はない気がする、ある種のマイルストーンといえましょう。
 とにかくモデリングには凄まじい労力・時間を要しますので、今回はさほどがんばらずに素材や専用ソフトを用います。

宝石CADを利用して素材作成

 巷には有料・無料の宝飾関係3DCADソフトがゴロゴロしていますが、オススメなのが、現在無料公開中の宝飾3DCADのJCAD3/匠 Pro 体験版

 日本語でとっつきやすい上、体験版ながら、DXF形式でファイルが書き出せるという太っ腹な仕様になっています(ただし頂点数制限がある)。
 宝石の各種カッティングがすでにプリセットされているので、JCAD3上でプリミティブ形状を作成、DXFファイルに書き出せば宝石形状をShadeにインポートできます。

 なお、JCAD3/匠 Proには付属のレンダラーもついてますので、「ちょっと素材が欲しい」という場合に使う分にはいいんじゃないでしょうか。


 その他、素材配布サイトの3D Lapidaryでも、DXF形式で各種カッティング形状ファイルがダウンロードできます。

Shadeでレンダリング

 Shade側には[ファイル(F)>インポート(I)]で、DXFファイル形式を指定、宝石形状を取り込み、表面材質設定を行います。

適用 数値 色指定
拡散反射 0.05 #ffffff(白)
反射 0.75 #ffffff(白)
透明 0.9 #ffffff(白)
屈折 2.42 #ffffff(白)
フレネル 0.65 #ffffff(白)

 上記表は無色透明のダイヤモンドのイメージの表面材質設定です。数値は正確なものではなく雰囲気です。その他の宝石の屈折率等はwikipedia等でお調べください。

 ジュエリーカタログのような宝石をレンダリングするには、背景設定で宝石に反射させたい色を指定します。下半球・上半球をそれぞれ別の色にするのがコツです。

 さらに、レンダリング時の[その他]設定で、視線の追跡レベルを5から20にあげ、宝石内部の乱反射を再現します。その他の設定で内部反射設定がありますが、今回はリアリティ重視ではないのであえて行いません。
 最終的に漫画素材になるので、シャープな仕上がりのレイトレーシングでレンダリング、保存します。

トゥーンレンダリングで線画を取り出す

Shadeの背景設定

 次にトゥーンレンダリングで、線画をレンダリングします。

 今回のサンプルでは陰線はレンダリングせず、表面上に見えるエッジだけレンダリングしました。

 トゥーンのプリセット設定をカスタマイズ、法線境界の法線角度をギリギリまで落とします。宝石の形状によっては、エッジの角度が浅くて線がひかれない場合があります。
 今回はギリギリ2°。これを0°に指定してしまうと、意図しない線(ポリゴン稜線)が多数表示されるので要注意。

 さらに[塗り]タブの表示チェックボックスをはずします。これで線画だけをレンダリングするようになります。以上でトゥーン設定のカスタマイズは完了。

 レンダリング結果を保存したら、次はPhotoshopでの作業に移ります。

Photoshop上で合成

 残りはPhotoshopでの合成作業です。以下図表で駆け足解説。

トーンレイヤ・線画レイヤを作成
トーンレイヤをモノクロ化、光沢レイヤ・ベタレイヤを複製
トーンレイヤをモノクロ2階調化し、光沢・ベタ・線画レイヤも2階調化して結合
出力例

 以上で完成です。
 手間隙かけてトレスしたような出来上がり...だと思うんですがどうでしょう。

 まあ正直宝石が出てくる漫画なんて書いたことないし、後半の行程もちょっとPhotoshop使ってる人なら思いつくでしょうし、相変わらず微妙なTIPSですが、宝石CADと配布サイトを発見した喜びで勢いまとめてみました。

Photoshop , Shadeチュートリアル , チュートリアル , 漫画表現