最近はパースも大体検討がつくようになりました(ありがとうイラスタ、ありがとうパース定規)。
さて、次に気になりだしたのが建物そのものです。
これまではインターネット上の写真を目分量で測って描くだけで満足していましたが、ある時、これまで何気なく見ていたお城の門や入口のアーチにも、形によってセグメンタルアーチやホースシューアーチといった名前がついていることを知りました。名前があるからには、なにやら一定の法則があるようです。
ここにきて、自分の書いている窓やアーチは「正しい」のだろうかと不安になりました。
ここ数年、パース関係の本は何冊も目を通しましたが、建築パース・漫画用パースの参考書で、建築自体の包括的な知識を教えてくれる本というのは、散見したところありませんでした。別の教科書が必要なようです。
そこで漠然と調べてみたところ、古典的な建築物はその土地や時代ごとの様式によって特定の比率で設計されていたり、また幾何学(きかがく)というものが応用されているのがわかりました。キカガクとはよく聞く謎のフレーズですが、どうやらキカガクとはCADもないイラレもない状況下、アナログ作業でかつ一定のクオリティで図形を書き出す、古来からのテクニックのようです。
創元社が出しているアルケミスト双書で「これは!」という、幾何学の本がありましたのでご紹介します。
幾何学の不思議―遺跡・芸術・自然に現れたミステリー ミランダ・ランディ
主題の神聖幾何学とは、...正直なにがなんだかわかりませんが、とにかく古い学問のようです。以上。
コンパスを使った5角形の描き方から、ピラミッドの寸法、そして、西洋から地中海沿岸までの広範な範囲でのクラシックな建築に繰り返し現れるパターンがどうやって描かれているのか、大量の図版で紹介されています。
ケルトのトリスケル(日本では三つ巴)の描き方や、イオニア式の螺旋、西洋(イスラム)建築のアーチの描き方が気になって仕方がない、という人に与えるときっと狂喜するでしょう。私は狂喜しました。
イスラム芸術の幾何学 ダウド・サットン
イスラム建築に用いられる陶器タイルや独特のパターンが、どのように描かれるのか、まるまる1冊費やして説明している本です。
恐ろしく稠密な内容で、読み進めている内にクラクラしてきたので、まだ全部は目を通してないのですが、幾何学パターンが大好きという人にはこれはお勧め。
またタイリング1つ1つには含蓄深い意味があるそうで、今度観光(仕事)で中東にいくという方も、この本をあらかじめ読んでおけば、モスク観光が一層味わい深くなるのではないでしょうか。...でも今、観光できるのかなー。
幾何学というといかにも難しそうですが、鉛筆・コンパス・定規となにやら馴染み深い文房具で構成された世界でした。
どちらも入門書的な1冊で、西洋建築知識そのものを紹介している内容ではありませんが、今後、資料写真を見るときに気をつければいいポイントを知らないか・知っているかでは大違いですね。
また、アルケミスト双書のテーマは「現代の錬金術シリーズ」だそうで、その他のラインナップもなかなか怪しげでいい感じです。ドラゴンやリトル・ピープルはまあいいとして、未見の黄金比が気になります。何度説明を聞いても判らないんですよね黄金比...
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