恐らくはシリーズ屈指のラブストーリー

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ダブルクロス・リプレイ・エクソダス(3)  懐かしきデイリーライフ (富士見ドラゴン・ブック)

「もう二度とCOMの上にリプレイは載せない」

 思わずそう誓った、DXシリーズ至上最もヘビーな展開を見せたダブルクロス・エクソダス第二巻に続く最終巻です。

 本家009のように擬似家族路線で落ち着くのかと思ってたら、最終的にはラブストーリーにまで昇華するという怒涛の展開に。ラブですよすげえラブですよラブまみれですよ。その点では原作を超えたかも知れない。以下ネタバレ感想です。

 たとえ主人公枠のPC1であっても失敗すればジャーム化を免れない。そう、これこそ我々が求めていたスパルタ展開。しかし、どんな状況でもPCは清く正しく逞しく生きていかねばならないのです。

 PC中、最大の攻撃力をもっていた真也を欠いた状態で、ファントムセルに立ち向かわざるをえないという、のっけから緊迫感のある最終巻。

 そんな前半の見所は真也にとって変わられる、矢野王子の新キャラ・グレムリン。

 途中参加のハンデを逆手にとって、前巻で消滅の憂き目にあったNPCピクシーと設定を絡めて

「もしもここに死んだピクシーがいたら...」

というifを織り込み、登場した瞬間からパーティに受け入れられてしまうのはまさにロールモデル。
 さあ、明日から真似しよう。といってもそうそう真似できるシチュエーションではないですけどね。

 アニメでも漫画でも、後半になって出てくるキャラクターというのはやはりどこか特別な「何か」があってこそ光るもの。主人公と相似のライバルだったり、死んだはずの誰かにそっくりなキャラクターであったり、と、「誰かにどことなく似ている」というキャラ設定はやはりTRPGでも伝家の宝刀ですね。

 なお、三頭身ロボットという非常に人畜無害かつ愛くるしい外見をしたグレムリンですが、アライブの三郎に続く三頭身キャラの登場、というとやっぱり王子の趣味なんですかね。それとも一部のファン層の為のネタ提供サービスなのか。トワイライトのショタPCからこっち、非常に第六感に感じるものがあるのですが...。

 

 さて、真也がジャーム化・NPC化したことで結果、今までストーリーの主軸からは一歩引いた立場であったヒロイン・エミリアにスポットがあたり、ヒロインと主人公の立場が3巻にして逆転。

 主役交代とはこれまでにない展開。ある意味バイタリティはエミリアのほうがありますね。

 エミリアは周囲の励ましで絶望の淵から這い上がり、「真也を救うんだ」という決断を下します。
 それは、ファントムセルに誘拐され、X島を逃げ出したPCたちの共通の目的「家族の下に戻る」ということを、半ば諦める行為でもあり、これまでファントムセルとUGNに翻弄されるだけであったPCたちが、おそらく初めて自発的に下した判断であるように思えます。

 そして向かう先は、宇宙。

 というあたりでそういえばこれ009オマージュでしたねパスティーシュでしたねということをやっと思い出しました。そうだったそうだった。真也のジャーム化をはじめ、九条支部長以外にも各シリーズからのPC出張イベントがてんこ盛りなので、思わず忘れてました。

 しかし、ガブリエルは大気圏突入ならず、エミリアは地球にいることが出来ない真也に付き添い外宇宙に飛び出していく道を選びます。

 主人公・ヒロインともにジャーム化という、よく考えるとこれまでにない衝撃の結末ですが、悲壮感が漂わないのはエミリアのキャラクターのおかげでしょう。エミリアはしかし、物凄くあっけらかんとしてるのがいいですね。これでもし、真也とエミリアの立場が逆だったら、真也はエミリアについていくにしても、何処かしら物悲しくついていくような気がするんですよねー。

 エミリア以下、ものすごい愛のあるハッピーエンドで、DXシリーズ中いちばん好きな結末となりました。
 親子のようだったガブリエル・アイヴィが結局それぞれ別の道を歩いていく、というのも、カラッとしたDXらしい〆方です。

 エミリアの決断によって、「ジャームは倒されねばならない」という絶対の前提条件が今回揺らぎ、ジャームとはなんだったのか、というのを再度考えさせられるエンディングでした。

 

 最後に読後の感想をずばり言わせて貰えば、真也はジャーム化して正解だったのではないでしょうか。

 09年現在、人気ブランド・DXリプレイも巻数も徐々に増え、シナリオのパターンが出揃ってきてしまった気がします。
 UGNとFHの対立構造という土台があるだけに、読者側からは大体展開も読めるようになってしまったタイミングで、たまたまダイス目のイタズラでGMの思い描いていたストーリーテリングが破綻してしまったことが結果、図らずも新境地を開いたのがエクソダスだったのではないかと。

 その他のシリーズでも、PCの判断やダイス目如何によって、シナリオ内での結末が変わったということはあったでしょうが、ダイス目によってここまでダイナミックに状況が変わってしまうのは非常にレアケース。特にオールドゲーマー視点では、FEARのゲームはまずストーリーありき、という感が強く、ダイス目如何でここまで状況が変わってしまう、というのはFEARリプレイだからこそ見たかったシチュでした。


 そしてよく考えると、最終巻ってアンソニー死亡後のキャンディ・キャンディとか、伯爵死亡後のアンジェリクとか、70年代少女マンガの前半部の展開ではなかったかと。真也はかろうじて過去の男にされるのを回避しましたね。グレムリンがなあ、いい男だったらなあ。

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