読書履歴
今月は漫画ばっかり読んでる気がします。
[敵は海賊・短編版] 神林長平
狐と踊れに収録されていた元祖短編・敵は海賊以降、お目にかかる機会がほとんどなかった敵海シリーズの短編を集めた、シリーズ初の短編集。長編は(神林作品にしては)早いピッチで刊行されてますし、巻数も多いんですが、短編は逆に少ないんですね。
今回、念願の初読になるのが、「わが名はジュティ、文句あるか」と「匋冥の神」。こちらは文庫書き下ろし。
タイトルどおり主人公海賊課チームのライバルである匋冥が主役なんですが、よく考えるといつもこの人が主役のような気がしなくもないです。
[翼の帰る処〈2〉鏡の中の空〈上〉] 妹尾 ゆふ子
めでたくシリーズ化しました翼の帰る処の続編も、やはり上下巻。架空の国を題材にしたファンタジーモノでありながら、質感は2時間枠の海外ミステリードラマのような味わいのあるシリーズです。上下巻ボリュームのおかげでお話のテンポは結構ゆったりめなんですが、1つ1つの出来事に意味があるのもミステリーっぽいです。
虚弱体質で隠居願望のある尚書官ヤエトさんですが、今回はのっけからノンキャリアからいきなり大貴族に叙勲されるという災難が襲い掛かり、隠居からさらに遠のいた上に間の悪いことに、時局は次期皇帝を巡る政治闘争の真っ只中。迂闊に振舞えば首が飛ぶというシチュエーションに、今回も彼の嘆き節が冴えてます。今後ますますヤエトさんの状況が悪化しそうで、下巻が楽しみ。
専門書以外は、ハヤカワ文庫しか読んでない気がする梅雨シーズンでした。
[アンブロークンアロー ― 戦闘妖精・雪風] 神林長平
ここ最近、比較的コンスタントに出ている気がする雪風3作目。
前作グッドラックは、10年ぐらい待たされませんでしたっけねー。
って、グッドラックの発売日を確認したら今回も結構待たされてました。いやー、実は待たされてましたよおかしいなー。
読みはじめるとあんまり時差を感じなかったんですけど、あー、アニメ(黒歴史)があったからか。
ライトジーン文庫版で、「いずれはより狡猾なものを書きたい」という旨のあとがきがあったように思いますが、確かにより狡猾になっている? のかなあ。
読後冷静に考えると、結構似てるパターンの話がかなりあると思うんですけど、読んでる最中はとにかく「今、神林長平を読んでる! しかも新作! スゲー!」ということそのものが至福すぎて、1ファンとしてはただただ嬉しくて、何も考えてられないんですよね。
[遊民の系譜] 杉山 二郎
いつもなら半月ペースで読書履歴をアップしてるのです、が、数年ぶりに読みわらない本に遭遇しました。1行中にこんなに情報量がある本は数年ぶり、いや、馬場あきこ著の鬼の研究以来の良書です。いかん、ウオー、面白い。
ヒンドゥー・ロープ・マジックという表紙絵のキャッチーさに加え、帯の「傀儡子からジプシーまで」という煽り文句も実に軽薄に感じられて、どうせ半日あれば読みきっちゃうもんねー、などと気軽な気持ちで手に取ったのが運のつき。半月たっても一月たっても読み終わりません。まだ読んでます。調べてみるとこれは文庫化されたもので、ハードカバー版は20年ぐらい前に出ているようです、知る人ぞ知る良書だったんですね。
この分だと読み終わるのはずっと先のことのようなので、あきらめてエントリをあげます。
「ファンタジー世界の妖精たちがもし実在したら?」
「彼らがもし普通の人間のように生活していたら?」
現代都市を舞台に、ファンタジー世界の住民を現実のマイノリティに置き換えた警察小説というのも海外小説では散見しますし、昨今のラノベでもすっかり定着したアイディアのようにも思えます。
しかし、それをよもや架空ミリタリーモノにリンクさせる人間がいようとは。タイトルどおり主人公はずばりエルフです。
物語の舞台はナポレオン戦争当時の大英帝国を思わせるカラル帝国、その植民地と思しい政情不安なエルフキナ州。
主人公はエルフでありながら生まれながらにして<影の女王>に呪われ、エルフの故郷ヒンタの地から出奔し、カラル帝国軍の精鋭部隊でありエルフのみで構成される<鉄のエルフ>部隊の元隊長であったコノエ少佐(1巻目表紙)
前エルフキナ総督を殺害し、追放処分を受けていたコノエがエルフキナ人の魔法使いヴィジーナ(2巻目表紙)に軍務に連れ戻されたのは、事件により解散の憂き目を見た<鉄のエルフ>隊を再結成し、地上に落ちた伝説の<星>の探索に向かう為だった──というのが序盤の展開。
しかしながら、新造<鉄のエルフ>隊は100名未満の寄せ集め部隊、しかも連隊長は軍隊にまったく理解のなく横暴な皇太子(次期皇帝)で、被支配者側のヒロインはやたらと帝国と任務と自然破壊について批判的。
さらに畳み掛けて、興亡戦存在<影の女王>までが<星>を狙っていて、死滅したはずのクリーチャーたちまで大挙して襲ってくる始末。
山のような気苦労を背負ったコノエ少佐は、ちゃんと任務を遂行して生還できるのでしょうか。





