1月上旬に読んだ本
[回帰祭] 小林 めぐみ
この人の本を読んでいて幸せになれるのかといえば、結局あんまり幸せになれないような... どこかシコリが残る読後感なのですが好きな作家さんです。
確かドラゴンマガジン誌上に掲載されていたねこのめシリーズで、なんかこうグサッとやられちゃったんですよねー。ツボではなくて、グサですグサ。刺さるんです。
地球から遠く離れた星に墜落した移民船ダナルー内部に展開する、閉鎖環境モノでジュブナイル小説。
人間はもはや妊娠・出産を行わず、機械から生まれて里親によって育てられるという慣行が徹底している時代。しかし、墜落によりプログラムが壊れたダナルーでの男女比はなんと9:1。これで問題が起こらないわけはなく、苦肉の策として考えられたのが地球への帰還事業。成人までにパートナーを得られなかった男児は、帰還船にのって地球へと帰らねばならない。
タイムリミットが迫る中での恋物語、なわけですが、小林作品らしく喋る動物しかもウナギが登場したり、少年少女とは別に大人の恋も進行中。喋る動物と同様に、小林作品の底通する破滅にむかってまっしぐらな大人の恋心のほうが、ライカ少年の初恋を押しのけて、今作ではよりいっそう切れ味を増している気がします。
[阿片の中国史] 譚 ろ美
清朝を傾けた麻薬・阿片のその由来、なぜ中国に阿片が浸透しえたのか、そして中国と英国が阿片戦争に突入して行ったのか──阿片を軸にした激動の中国史入門書とも読める一冊でした。むしろ予備知識ゼロの読者としては、正面から歴史に取り組むより理解しやすいかもしれません。
漢方の本場・中国でも、ケシの薬効は知られていても麻薬としては認識されていなかった、というのがまず驚きですが、それを麻薬として浸透させたのが英国であり、それを下支えしたのが産業革命で得た大量生産力とケシ栽培に適した植民地だった...。色々考えさせられる一冊でした。
[将国のアルタイル 3] カトウ コトノ
トルキエ将国より港湾都市ポイニキアに舞台を移し、主人公が大活躍か、と思えば大活躍したのは帝国のレレデリク様とグララット。もう今回は主人公を置き去りにして、ひたすらレレデリク様、レレデリク様がかっこいい!
第三巻はまるごとポイニキアの興亡をめぐるストーリーで、よくありがちなご都合主義に陥らず、非常にカタルシスを感じる展開となってます。一介の外国人として(伝説化されてますが)、やや地味な役どころに置かれたマフ君は冷静に自分を客観視しはじめました。おお成長しているではないですか。
また今回はじめて周辺地図が出てきました。トルキエがバルトラインと国境を接しているのは判っていましたが、トルキエは海岸から離れた内陸の国。あれ、トルキエってもしかしてすごい立地条件悪いんじゃ...。



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